自閉症スペクトラムを持つ息子の小学校支援学級6年間をざっくり総括
「支援学級の生活ってどんな感じなの?」
来年又は先々子供の新旧先を小学校の支援学級へ入学を控えている子供を持つ親の疑問ですね
私の息子は2021年春、小学校を卒業します
この記事では小学校6年間を通して“ざっくり”どんな小学校支援学級生活を過ごしたのかをまとめました
子供を支援学級へ入学を考えている方
支援学級か通常学級か迷っている方
の参考になれば幸いです
支援学級を客観的に見て思うこと
支援学級は1年から6年生までで1クラス最大8人で構成されるクラスです
息子の小学校では《知的クラス》と《情緒クラス》の2クラスありました
軽度障害~重度障害まで幅広く児童が在籍しています
行事によっては両方のクラス合同で行う授業もありますが、基本的にはそれぞれのクラスで過ごし、授業を受けます
1年ごとに進入児童・卒業児童が発生するので、その年に在籍する生徒の性格や雰囲気、特性によって支援学級の空気感は違うと感じました
ですから、その年年によって先生が生徒とどのように対応するのか? どの程度どの生徒に介助をつけるのか?は年齢や障害の度合い、子供の成長により違ってきます
学校見学へ行かれる方は、自分の子供が入学する年にどの子供たちとともに過ごすことになるのか?子供たちの様子も見ておくとよいですね
高学年でも多く支援が必要な児童には介助がつくし、1年生でも自分でできることが多い児童には自分でできる力を育てるために介助が付くことが少なめの場合もあります
“個々”に合わせた支援のある支援学級です
「1年生なのに介助の支援が少ないなんて…」
と思う方もいるかもしれませんが、そこは担任が子供のことを良く見ていてくださったり、上級生の児童が下級生を手伝うことだってできます
また、交流学級へ移動するときに交流学級のクラスメイトが誘いに来てくれるなど、幼稚園や保育園との違いは手伝ってくれる人が大人しかいない環境ではなく、子供たちが支えてくれる環境が小学校にはあります
息子本人の成長
入学時には、この子はどの程度できることが増えるのだろうか?生活面は?学力は?人間関係は?と不安だらけでした
が、今となっては発達検査をすると、だいたい8歳から9歳の能力があると結果なんです
その年齢の能力があると、生活面で困ること、具体的には食事・排泄・入浴・外出・などで困ったり不安を感じることが無くなります
- 留守番ができます
- 友達と遊ぶことができます
- 自分で地域の公園へ出かけて暗くなったり帰りたくなったら帰宅してきます
- 日常生活のコミュニケーションができるようになりました
- コンビニで簡単な買い物ができます
できないことは、
- 新しいことに対して抵抗感を持つ
- 何かを覚える・伝える・考える・行動することは、人より時間がかかる
- 複数の指示をこなすことができない(一つ一つの指示)
- 先の予測をして行動することが難しい
- 相手の気持ちを考えることが苦手
……と、特性の面で普通の人より不器用なところは沢山あるけれど、時間をかければできることや、慣れればスムーズにできること、年齢とともに知っていることは増えていくよねと思えるレベルになりました
先生から受ける支援
小学1・2年生の頃は、交流学級の授業へ行くときは必ず介助又は担任の先生がついてきてくださる手厚い支援を受けられました
小学3年生の時には下級生に手厚い支援がつくので、息子には自分でできることはできるだけ自分でするよう頑張らせました
自分でできる力は学年が上がるたびに必要になる力なので、息子の得意なことと苦手なことを先生方に理解していただきながら介助するところ、見守るところ、本人に任せるところを判断して対応していただきました
小学5.6年の頃には、通常生活に困ることは無かったので、本人が困っていることがないかを確認して頂いたり、下級生が下校したあと(5,6時間目)にじっくり学習に取り組むなど個別対応をしていただきました
子供にべったり介助が付かない学年になっても、担任は学校内のクラスを巡回する中で様子を見に行ってくださったり、交流学級の担任が良く見守ってくださっていたり、子供自身が自分の力で教室移動をできる力が育っていたり、自分で時間割を見て1日の行動を理解できるようになっていたり「そんなことがまさかできるようになるなんて!」と親の私自身も驚いています
学校が時間割という時間で決められていることに違和感を感じる私ですが、自閉症という特性を持つ息子にとって“時間割”という“分かりやすく既に決められている決まり事”は生活しやすいように思います
学習
同級生と比べると同じような知能はないけれど、でも同級生より2,3年遅れで常に成長している数値が息子には出ています
また、小2年生の頃には本人の得意な教科と不得意な教科が明確になってきました
息子の場合は数字が得意で漢字や文字を読んで理解することが難しいんですね
本人自身も小学3年生の頃にそのことに気が付きました
2学年下の妹がいるので、「妹と同じ漢字を僕はまだ習っているぞ?!」と気が付いたんです
それでも根気よく毎日の授業と年数を重ねるごとに、ゆっくり読む・書く・文章を考える力が身につきました
これは自宅で親子ではしてあげられないことなので(親子だとお互いイライラしますから…)学校の先生がじっくり息子と課題に付き合ってくださった力と、本人の頑張りだと思っています
息子の学習面の成長(知能)は低いけれど、じゃあ大人になった私自身はどうかというと、中学や高校で習った学習が生活で役立っているかというと、ほとんど小学生レベルの知識で生きています
歴史を知らなくても生活はできるし、英語を話せなくても日本の中では困りません
古文も連立方程式も元素記号も生活上では使いません
それに、勉強は学校生活の間だけするものではなく、一生勉強だと私は考えています
40代のお母ちゃんでも、世の中のほとんどのことを知らないちっぽけな人間なのだから、自閉症の息子にも同じことが言えると考えています
何歳だって勉強はいつでもどこでも先生がいなくても、ネットと本があれば一人でできるので、学校生活の中で学習能力がなかなか伸びないと悩むことは無いと思うのです
- 日常生活を送るうえで必要な学習の力は何なのか(簡単な買い物の計算など、騙されない金銭数字感覚、自分の住まいの地理を知るなど)
- 社会生活を送るうえで必要な学習能力は何なのか(料理で計量するとか、1週間、1か月のスケジュール見通しを持つ、公共交通機関を使うなど)
- 就労先で必要な学習能力は何なのか(正しくプリントの枚数を数える、時計を意識して行動するなど、挨拶・返事・分からないことを質問する力)
これらの学習能力を学校で学べたら十分だと考えています
放課後デイサービス ~療育~
小学1・2年生の時は平日と土曜日を含め、週4日利用していました
療育内容は
・絵画+ゆったり過ごすデイ
・個別療育+ゆったり過ごすデイ
・運動
の3種類
小学3年以降は本人の「土日は休日がいい」という意見と、成長から
・絵画+ゆったり過ごすデイ
・学習+ゆったり過ごすデイ
の、週3日利用にかえました
学年が大きくなると、時間割が6時間ある曜日が増え、6時間目が終わるのは16時ころなので、それからデイサービスへ行ったとしてもすぐに帰宅時間となってしまうようになります
また、デイサービスに高学年で在籍する児童が減ってくるのです
すると、例えば小6の息子は小1の生徒と同じレベルで遊んですごすことは無いんですね
やはり、年の近い友達と遊びたい気持ちがそこにはあります
中学生に上がる息子には、もう放課後等デイサービスは卒業なのかな?とも思うのですが、本人に卒業するのかを確認すると、イメージができない様子なので、実際に中学校へ入学して学校生活をつづけながらデイサービスを卒業するのかどうかを考える結論に今はあります
親としては、どこか1か所でもつながりを持っておきたい気持ちはありますが、実際に通うのは息子自身なので、息子が学校+療育は疲れてしまったり、下級生の中に自分一人が居づらかったり、必要を感じないのに親の意見で通わせ続けるのは意味がないと私は考えるので、来年の様子をみることに決めました
6年間を通して
私が息子の小学校入学前の年に学校見学へ行ったとき、6時間目の時間帯に身長の高くなった6年生の男の子が交流学級から支援学級へ戻ってきて「疲れた~~」と、リラックススペースに寝ころびました
「やっぱり学校生活はこの子たちにとって疲れるものなんだな」とその時感想を持ちました
それでもその男の子の授業を受ける様子は、椅子に着席して先生と会話をしてプリント学習に静かに取り組んでいました
私の息子も、今では学校生活は頑張るところだとインプットされているので頑張ってくれています
椅子に着席して、下級生がうろうろしてしまったとしても、自分はそれにつられることなく着席しています(低学年の時は一緒に遊びモードになることもありました)
“考える”行動が最も苦手な息子でも、学校では頑張って課題に対して考えています
その分、自宅に帰ってから、休日は思いきり自分の大好きなこと(ゲーム)をすることでまた月曜日からの学校を頑張るために心のビタミンチャージをしています
【頑張る場所】と【安心してリラックスできる場所】
どちらもバランスよくあることで、日常生活をいたって普通に過ごしています
息子の小学高入学時には【悩み】ばかりだったことが、今では私自身の考え方も変わり、
【この課題をどう解決すればよいのか】という考え方に変わりました
いつまでも「不安だ」「悩みが絶えない」「どうしよう」と愚痴っていても何も変わらないので、子供の困っていることに対して「どうすれば子供が理解できるかな?困ったことを正しく理解できるかな?」と悩みに向き合うようにしています
そのサポートとして担任の先生や療育が役立ちます
そのためにも、担任や療育先に「こうしてほしい」という要望や意見ばかりを言うのではなく先生の意見も尊重したり、話し合うことが大切だと考えています
そして、今思うのは、社会人の年齢になった時のほうが課題は増えるのだろうと想像しています
大人の年数は長いし、本人の意思も今より確実に発達しているし(親の言うことを聴かない)、本人の責任が伴うことにもなるし、常に守ってもらえる環境がなくなります
学校という囲われた社会から大きな社会へ出らるように、生活する力や生きていく力を時代に合わせてどう身に着けさせるのか?
親の頭を常に使わせてくれる療育子育てだなと思いますが、ボケなくてよいですね(^^)
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