自閉症の子供への家庭療育方法【スモールステップ方法】
療育園や相談員から、「スモールステップで子供もできる事を増やしましょうね」とよく言われたものです
この、スモールステップとは言葉の通り、小さなことから少しずつ、ゆっくり時間をかけてできる事を増やす手立てです
私が息子に取り組んだ事例で具体例をあげて説明しますね
⓵ 子どもに何をさせたいのか?課題を考える
子どもが取り組みやすく、私も負担なく関われる内容 【自分で靴下をはく】を練習で取り組んできた事をお話します
靴下をはく行動は、毎日取り組める内容だし、靴下をはいた後はお楽しみのジュースタイム(朝食)が息子の励みとなって取り組みやすいと思ったからです
② 誰が・いつ・どこで課題を行うのかを決める
誰が:お母さんが いつ:療育園へ行く前 どこで:部屋
⓷ 子どもが取り組みやすい手立てや工夫を考える
《環境の工夫》
・部屋に気が散るような物はないか?→テレビを消す・おもちゃを片付けるなど
《言葉かけや指示して理解しやすいもの》
・行動を支持する絵カードや写真
・靴をはく時に「はくよ~」と声をかけて行動を促す
④ 実際の行動を細分化することと、どのような援助を必要とするのかをあらかじめ考えておいてから取り組みます
《行動を細分化する》
1 座る:遊んでしまう場合は座る場所へ連れて行って座るよう促す
2 足を見る:「靴下をはくよ」と声をかけて、足をトントンと刺激して注目させる
3 靴下を指示する:「靴下を持つよ」と伝える
4 靴下を持つ:靴下の口を広げる動作を手を添えて教える
5 靴下を足の甲までお母さんと一緒にはく:靴下に足を入れる動作を教える
6 靴下をさいごまで引っ張り上げる:「グッと引っ張ってね」と声掛け
⑤ 子どもがつまづいている箇所をどのように支援したら子どもがやり易いのか?
親が伝えようとしていることを子どもは理解できるのかを、様子を見ながら取り組みます
課題を取り組みながら
手を添えて手伝えばいいのか?指差しだけで伝わるのか?言葉かけだけで子供が行動できるのか?細分化した行動のどこでつまづいているのか?課題が難しすぎないか?
よ~~く子どもの様子を観察しながら取り組みます
⑥ できた時のほめ方や関わり方
言葉で褒めたり、拍手をして褒めたり、ハグしてもいいですね
私はごほうびのジュースも付けていました
⑦ どういう状態がこの目標を達成したと言えるのか?
ここ重要です!
「毎日できた!」がよい結果ですが、最初から “毎日できる事が目標だ!” と決めていると、できない日にストレスを感じてしまいます
自閉症の息子は気持ちの切り替えが悪くて、スムーズに取り組めない日もありました
そもそも取り組めない日はやらないし、取り組んでいる最中に嫌がって、何を言っても励ましても褒めても“やらない”という日もありました
だから、最初は “1週間の間で3回できたら達成!” “2週間の間で5回できたら達成!” のように、ハードル低く始めることをお勧めします
もし、2週間の間で10回出来たら、それはそれで嬉しいことですよね
反対に、2週間の間で4回…だったら、もう少し気長に課題に取り組めばできる頻度が増えそうなのか?
課題が難しいのか?
じゃあ、取り組み方を変更するか? 支援方法を変更するか? 課題そのものを変更するのか? を考え直します
支援の手立て手順をまとめますね
⓵ 子どもに何をさせたいのか?課題を考える
② 誰が・いつ・どこで課題を行うのかを決める
⓷ 子どもが取り組みやすい手立てや工夫を考える
④ 実際の行動を細分化して取り組みます
⑤ 子どもがつまづいている箇所をどのように支援したら子どもがやり易いのか?
親が伝えようとしていることを子どもは理解できるのかを、様子を見ながら取り組みます
⑥ できた時のほめ方や関わり方
⑦ どういう状態がこの目標を達成したと言えるのか?
これが、子供へ教える時の基本です
スモールステップ方法を取り組んだ感想
「めちゃくちゃめんどくさいですよね(-_-;)」
私はこのやり方を相談員から教わったとき、口から出た言葉です…
「そんな細かく設定して教えないと、息子には伝わらないの?」
「そんな時間をかけていられるのかな?」
障がい児の子育てって……
実際に息子と向き合ってみると、関わり方に慣れない間はま~~~あ!イライラします!
ココロの中で「早く!」と急かしてしまいます
お母さんの時間を犠牲にしないと子供は自分で出来るようにならないことが分かって、正直苦しかったです
でも、いつまでも子供が何もできないまま大きくなる方が、後で困ることは想像できますよね
今、苦労してでも子どもが自分で出来るようになるまで丁寧に関わって子どもの力を伸ばすのか
関わる労力が大変だから、療育任せで自宅では何もやらないのか
どちらがいいですか?
私は前者がいいと考えました
今、自分がしんどい思いをしてでも、後で楽をしたい
1日でも早く自分で出来る力を身につけてもらって後から私は楽をしたい
そう思ったから、当時は熱心に家庭療育に取り組むお母さんになっていました
家庭療育を取り組み始めた頃は、“なんで?どうして上手くいかないの?” という事が沢山あったけど
毎日子供とスモールステップの手順を行動したり、どうすれば子供がやり易いのかを考えたり、一つ一つ丁寧に関わっていると自然と慣れてくるもので、いつの間にか子供がするどんな行動でも即座に行動を細分化して考えられるようになります
“どの程度手伝うか?子供自身に頑張ってさせようか?”
“どの部分で子供が困っているのか?”
“どこまでできていてどこでつまづいているのか?”
療育園で出会ったどのお母さん達も、1年ほど子供を観察することを意識しているだけで子供のことがよく分かるようになっています
息子の家庭療育を取り組んで得たもの
3歳の息子の下には1才の娘がいました
娘にも手がかかるのに、長男は3歳なりの体力がついて行動範囲も広くなって手がかかります
こだわりは強いし、自分で自分の事ができないので、1才の娘よりもっと大変(-_-;)
例えば食事をする時、1才の娘は食べ方は汚くても自分でフォークやスプーンを持って食べようとします
3歳の息子にはフォークを持つ集中が途切れてしまうので
・フォークを持つこと
・フォークで食べのモノ突き刺すこと
・フォークを口へ運ぶこと
息子の手を持って、この3つの行動を介助しながら教えていました
まるで双子を育てているみたいや!と、常に思ったものです
(療育園で出会ったお母さんとよく「まるで双子状態だよね~」と話したものです。あるあるですね。)
スモールステップの手立てで、細やかに分かりやすく息子へ関わっていると
・子どもを観察すること(どこで困っているのかを見る)
・子供に寄り添う事(気持ちに共感する)
・丁寧にかかわる事(どう伝えたら相手に伝わるのか試行錯誤する)
が当たり前となって、私には子供たちに何かを教える時にどうしたら相手が分かりやすいのか?を考える力が身につきました
だから、幼稚園の子供が折り紙が上手く折れなくて困っている時に、一緒に丁寧に折り方を説明していると、他のお母さんから「教え方が上手だね」と褒められたことがあります
私は療育先で先生が息子へ折り紙を教える時の手立てを見て知っていたから、先生がしていたように教えると、普通の子供たちはスッと理解してくれます
でも、普通のお母さん達は、そんなメンドクサイ教え方なんてできる人、少ないですよね
さらに、私が息子へ細やかに教えている様子を毎日当たり前に目にしている娘にしたら、分かりやすすぎる私の説明を聞いてすぐに自分でできる事が増えました
さらにさらに!娘にとっては、私が息子へ関わっているやり方が当たり前の子育てだと思っているので、幼稚園や小学校で上手くできないクラスメイトのお手伝いをするようになったし、上手くできないお友達への説明の仕方もすごく細かく「ほら、ここを見て、これをこうやってこうすればいいんだよ」と、説明付きでして見せながら教えているんです
相手の困っている所を知ってお手伝いする能力って、意識しないと身につかないものだから娘にとってよい道徳教育だよなと、今では思えます
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