幼稚園や学校の友達に特性の事を指摘されたらどう答えるか

療育子育て

子供同士の関りの中で、特性の事を指摘されたときにどう答えるのか

自閉症スペクトラム障害のある息子を地域の幼稚園へ通わせている時、同じクラスの子どもから

「赤ちゃんみたいな喋り方だね」 「何て言ってるか分からない」と、コトバの事を言われたり
「いつも部屋の隅でじ~っとしているよ」「なかなか教室に入ってこないよね」「なんか、わ~~ってなってたよ」など、みんなと様子が違う所を私に話しにくることがあります

当時の私は、なんと返答をしたらいいのか分からなくて、同級生の子供たちが放つ言葉に戸惑ったり、焦ったり、心を痛めていたんです

幼稚園の年齢の子供たちは、悪意があって「何て言ってるか分からない」と言うのではなく、素直に感じた事を伝えてくるんですね

悪意のある言い方をしてくるのは、10歳くらいになって、『障がい』という言葉を知るようになってからです

でも私のように障害のある子供を持つ親は、我が子がみんなと違う所を突かれると、すっごく構えてしまいますし、なんと答えて良いのやら?と、とっさに最良の答えを相手に伝えられなくて悩んでしまうのではないでしょうか

息子が幼稚園の時、同じクラスの子供に何と言えば伝わるのか?言葉を考えていました

「赤ちゃんみたいな喋り方だね」と言われた時、「みんなと同じように話せないけど、今みんなと話ができるように習いに行って練習しているんだよ」と話したことがあります

するとその子は「ふ~ん、そうなんだ」で、納得して会話が終わりました

「嫌な事がると、うずくまっているよね」と言われたときは 「苦手な事があるんだよ。うずくまって静かにしていたら気分が落ち着くの。落ち着いたらみんなと遊べるから、それまではそっとしてあげてね」

のように話してきました

相手に理解してもらう事は不可能という前提でいて、“そういう性格の息子なんだよ” “苦手な事が多いんだよ” と説明してきました

出来ない子・ダメな子・劣っている子 という印象を与えないように言葉を選んで伝えてきました

息子は皆と遊びたい気持ちを持っていることを伝えたり、上手く出来ないこともあるけど練習していることを伝えたり、言葉は苦手だけれど、写真や物を見せてくれると分かりやすい性格なんだよねと伝えたりしていると、子供たちは自然と “あの子はそういう性格の子”と受け入れてくれました

周りのお母さん達も、どう踏み込めばいいのか分からないんだよね

次に、気を使うのはお母さんです

息子の事を「なんて言ってるのか分からない」と言ってしまった子供のお母さんが、“しまった”という様子で「ごめんなさい」って謝るケース

こちらとしたら、正直子供はストレートに言ってくることを仕方がないと受け止めています
だから、「何て言ってるのか分からない」と言ってしまった子の親には、「そこまで申し訳なさそうにしなくても大丈夫ですよ」と思っているんだけど、相手は「言っちゃいけないことを我が子が言ってしまった……」って申し訳なく思ってる

私たちは障がい者と共に生きる社会の中で生きてこなかったから、どう接すればいいのかが分からないんですよね

私が逆の立場だったら…と考えても、「すみません」って謝っちゃうだろうなと想像します

幼稚園やご近所付き合いで親子共に関わり合いができて、より良い関係性を作っていると、こちらから「うちの子はこういう事が苦手なんだよね、でもこうすると出来るようになるの」と、話しやすくなるし、相手が正直に「子どもにあなたの子供の特性の事をどう話せばよいのか分からないんだけど、どう伝えるのがベストなんだろうか?」って聞いてくれます

小学生になると、「何で支援学級に通っているのか?」と子供から質問されることもあるので、支援学級とはどんなことを補ってくれるクラスなのかを正しく説明する事と同じだと考えています

“できないから・みんなのスピードについていけないから” というネガティブなイメージが支援学級にありますが
“本人の能力に合わせて、より良く力を伸ばせる環境が整っている” のが支援学級です

相手に障がいの事を完全に理解してもらう事はむずかしくても、自分の子供が困っている様子を見かけたら「どうしたの」って声をかけてやって欲しいことや、皆と同じような成長ではなく、子どもっぽい様子が多々あるけれど
人より成長の遅い人は世の中に沢山いるんだという事を一人でも多くの人が知ってもらえるきっかけになって
考えてくれたら、少しずつ社会がより良くなるのにと思っています

子供のことを理解してもらうために

《発達障がい》という言葉や名称が、お母さんの間でもずいぶん知られるようになったけど、じゃあ発達障がいって何なの?多動なの?言葉が話せないの?のような表面的な事しか知られていません

幼稚園・保育園・小学校など新しい環境での生活が始まる時に、子供のことを周りに理解してもらうためにはこちら側から心を開く必要があります

障がいの事をネガティブに捉えず、苦手なところはサポートを受けているけれど、皆と仲良くしたい気持ちを持っている事を伝えたり、我が子は感情表現が言葉でできなかったり、行動で上手く表せないけどみんなと楽しく過ごしたいと思っていることを親が説明することが大切です

障害のある子供のことに触れてはいけない

障害のある子供のことを聞いちゃいけない

と思っているお母さんの方が多いので、こちらから適度にタイミングを見て話してきました

例えば、園庭で自分の子供とクラスメイトが砂遊びを楽しんでいる時に、子供たちの輪に入って「楽しいね~」と息子の気持ちを代弁して私が話すと、子供たちは私に沢山話しかけてくれました

子供たちの輪に入って私が相手をしていると、その親が「遊んでくれてありがとうございます」って挨拶をしに来てくれるので、そのタイミングで挨拶を交わして少しづつお母さんと仲良くなっていきました

子供たちの輪に入って一緒に遊んでいると、自然に息子の特性の事を知ってもらえるようになりました

周りに知ってもらう事で、息子が困っている時にサポートをしてくれる人が地域にいたら助かると考えているし、障がいの事を一人でも多く知ってもらって、お母さん達の身近に子供の障害のあることで悩んでいる人がいたら、暖かく接してあげて欲しいと思っています

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