言葉の遅れのある子供への親の望み『言葉が出て欲しい』
先日、支援学級のママ友と話をしていて出た話題
「言葉が出たからと言って
コミュニケーションが出来るわけじゃないよね…」 です
子供の知的障害診断が出た後、お母さんは我が子に対して
『まずは言葉が出て欲しい』
という強い思いを持っています
私もそうでした
言葉が出ると、子供が何を考えているのか分かる
子供が自分の気持ちを伝えられる
そう思っていました
だから、言語療育を受けさせたい!
って、親も必死になります
数少ない言語療育先は、予約は常にいっぱい
空き待ち状態ですよね
でも、言葉が出ても
“子供が自分の気持ちを伝えられる”とはすぐに結びつきません
このブログは私の息子の言葉の発達について記事にしています
ご参考までご覧ください
“なん語”の2歳代
発達障がいの診断が出た頃に発していた息子の言葉は
“なん語” 程度
例えば “バナナ” を 「バー」
という、極少ない覚えた単語を何となく言う…というか
発する程度でした
基本的には 『クレーン行動』(人の手を使って物事を欲求する意思表示)
という自閉症独特の行動で
自分のしてほしい事を伝えていました
3歳 初めて「ママ」と言ってくれた!
療育施設へ通い、数か月後に「バイバイ」など
ごく簡単な単語が出始めました
たったそれだけでも本当に嬉しかったです
ゆっくりでも単語が増えるのを楽しみにしていました
一番最初にハッキリ発語した言葉は
「モコズキッチン!」でしたよ
息子を二度見しました
朝の支度中に毎日このチャンネルがついていたので覚えたのでしょうね
息子には療育先でいつも仲良く遊んでいる一つ年上のお友達がいました
比較的言葉が出ているお子様で
お母さんのお迎えの時に、いつも「ママ~」って
嬉しそうに駆けていくお子様でした
その様子を毎日見ているうちに
息子もお友達のお母さんの元へ走っていくようになりました
マネができるようになっていたんですね
ある日、お友達が発する「ママ」という言葉に反応して
「ママ?」と発しました
疑問形な言い方でしたが
初めて私の事を「ママ」と認識してくれた時でした
ね
たったこの一言を子供が言葉にしてくれることで
親は我が子を産んで良かったって思えます
ママの事をママと認識できず
ママと呼んでくれない日々は本当に寂しいものがありますよね
「ママ」という単語を覚えたからといっても
どういう時に「ママ」と発すればいいのかは分かっていなかったので
何でも「ママ」と言う時期がありました
語彙数が増え始めた4歳代
少しずつ、語彙数が増えました
発音は不明瞭な事が多かったですが
単語を覚えられる事は大きな成長でした
この年齢から「きこえとことば」の教室へも通っていました
少しずつでも単語が出始めたことに喜んでいたのですが
見事に自閉ちゃん独特の
テレビのセリフやCMのフレーズの連呼
が始まりました
その他、自分の好きな音があるのか宇宙語の連呼です
コトバ巧みなお子様の場合はこんな困り感があるようです
◇「なんで?」「どうして」の質問攻めが止まらないお子様
…たとえば 「ロケットって、どこまで行くの?」「宇宙って何?」「宇宙はどこまであるの?」
親にしたら「……知らんし(-_-;)」ですね
でも、子供の質問は止まりません
◇思った事、見たままの事をストレートに発する
…たとえば「ハゲ」とか「デブ」など
外出先で大きな声でこれらを発せられたら親は冷や汗ものですよね
◇子供のマイ・ワールドの世界の話をずーーっとつぶやいている
…誰にも害はない行動だけれど、常に一緒に居るお母さんは、イライラしますよね
それに対応したり、聞き続ける事に
疲れてしまうお母さんや、苦労しているお母さんもいらっしゃいます
子供の言葉が出ていない頃は『 言葉が出て欲しい 』
って望んでいたのに
必要のない言葉だと 『 黙ってて 』 って思ってしまう…
言葉が出ると
・子供が何を考えているかが分かる
・子供が自分の想いを伝えられる
・コミュニケーションがとれる
そう思っていました
でも、言葉とそれらを操る能力は別物だって後から気が付きました
二語文で伝える力(幼稚園時代)
単語を少しずつでも覚えると
「リンゴ、いる?」という質問に「うん」と答えられるようになってきました
次第に本人から 「ジュース、飲む」と2語文で簡単な欲求を言えるようになってきました
生活の中で良く使っている言葉は耳にすることも多くて
目で確認することも出来るので
簡単な2語文は増えて行きました
「服、着る」 「靴、履く」 「公園、行く」
という2語文です
ただし、感情を表現することは難しい事でした
きっとこれは自閉ちゃんの特性がでしょう
“嬉しい” “悲しい” なんて目に見えない物は理解が難しいです
「ママ、好き」なんて、一度も聞いたことありません
息子は地域の公立幼稚園へ通っていたので
同級生の子供たちの言葉巧みさに私は常に圧倒されていました
通常の子供たちの発達は本当にすごいんだな~と驚いていました
三語文を理解できるようになったけど、さらなる課題(小学校)
小学校支援学級へ入学後
国語の授業が始まりますね
文章理解なんて、いつになる事やら…
というレベル
まずは単語と簡単な2語文、3語文と増やしていく授業と
ひらがなカタカナのマスターでした
→ 文字については別ブログで
問題を出題されて
「パパが 電車で 仕事へ行く」
のような3語文を考える力がついて来ました
問題ではじっくり考える事ができるので
時間をかければ3語文でこらえられるものも出てきましたが
頭で考えたことを言葉に発する行動は別の能力の様で
口に出して
「誰が 何を どうした」とスムーズに言えるようになったのは
小学3年生ごろからです
それに、基本的に他人の行動に興味がない
または、自分の事で必死なので他人のことまで気にしていられないので
例えば「今日は学校のプールの授業で何をした?楽しかった?」
って質問しても 「泳いだ」 だけの返事だったり
返事がない事もは多々あります
だから、言葉を発する能力は身についたけれど
今日の出来事を自分で思い出し て
その時の 気持ち や クラスメイトが何をしていたのか を
頭の中 で 考えて 文章 でまとめて
言葉 で発する
例えば娘が
「今日さ~、〇〇君が掃除の時にふざけていて
めっちゃ先生に怒られててさ~、休み時間が少なくなってん」
って、何気ない日常を話してくれるんですが
この思考と行動は実はめちゃくちゃ高度な事なんだってことに
気が付きました
息子がどんなことを考えているのか
どんな気持ちだったのか
今日は何を過ごしてきたのか
私には全く不明な毎日です
学校へ楽しく通えている事で良しとしています
言葉のキャッチボールがうまくできなくても生活はできます(小学校高学年)
小学校4年生の頃には普段の生活上の会話ができるようになりました
「学校に行って来ます」
「今日こけてケガをした」
「お風呂に入るよ」
「ゲームをしたい」
「遊んで来る」 など
大好きなジャンルの話は
話し始めると止まりません
息子の場合はゲーム『マインクラフト』
マイワールドに入ると、その世界の言葉しか発しません
学校で何があってお友達がどうして、
こうなって、ああなって、面白かったのかしんどかったのか?
そういう話はほとんどできませんし
本人自身その話をすることに楽しみはないみたいです
言葉が出たからと言って
言葉のキャッチボールがそう簡単にできるわけではないです
頭で考えたことを口を動かして声に出す行動は
特性のある子どもにとっては
ものすごく労力を使うことのようです
「どうだったの?」と質問しても
質問にどう返せばいいのかすっごく難しいみたい
あまりしつこく質問すると
「もういい、黙って!」
「分からん!」
「いやや!」
と、拒否されたり、返答ない事もあります
基本的には言葉で人とやり取りを楽しむ事はありません
それでも、一年一年、言葉のバリエーションは増えています
難しい事柄の話は出来なくても
日常生活の中での必要な会話ができれば十分ですし
こちらが伝えたいことが伝わっていれば、生活は成り立ちます
自閉症の 東田直樹さんの本にも書いてありました
『自分が頭で考えている言葉が口から出るわけでない』と
発達障がいのお子様を子育てしているあなたは
お子様の言葉についてどう思いますか?
今の私は
人は言葉がなくても自己表現できるよね
自己表現の方法は人それぞれ
令和の時代に入り
個々の能力が評価され、ネット社会が濃くなる中で、
口から発する言葉がなくても自分の能力をメディアを通して発揮できて
評価してもらえる世の中になっています
スポーツ・ゲーム・音楽・それぞれの趣味
その中で、私が関われる得意ジャンルは アート です
ただ、色を塗りたくるだけでもその時の気分が表現できます
描き出す作品で他人へ感動を与えることができます
自己表現の場が広がった、いい時代になったと思っています
人間関係の苦手な発達障がい児が
学校での困難があったとしても、
ネットの中では言葉が無くても世の中に認めてもらえるコミュニティがあります
『アトリエいろかさね』 は 言葉の無い人へのバリアのない空間づくりと
アートを表現できる場・アート好きな仲間と繋がれる場を
大きくしたい目標があります
そんな目標のある私とお話したいお母さんは
ポーセラーツ教室でお会いしましょう