『鬼滅の刃』魅力を語る
週刊少年ジャンプに2016年連載開始当初から着目していた私としては、こんなに人気になって嬉しい限りの作品です
“鬼を退治する”という設定としては少年誌によくある、悪を倒すお話だよねと読んでいました
まず、作者名が “吾峠呼世晴” !!
これだけでカッコいいって思っていました
作品ストーリーは、悪を倒すために、主人公が自分の能力を上げるために修行をして、敵に立ち向かう
共に戦う仲間がたくさん登場することで、キャラクターそれぞれに読者ファンを付けるための商業的作戦ではあるものの、キャラクター達の性格が魅力的に描かれています
でも私が「鬼滅の刃」を好きになったのは、そんな少年誌の “型” ではなく!
1 時代設定が大正レトロな雰囲気
2 強さだけじゃない!キャラクターのかわいらしさ
3 人が殺されたり、鬼を殺したり、残虐なシーンがかわいらしい独特の絵柄でグロさがない作画
4 作者のペンタッチの独特さが
5 和服や刀、キャラクターごとの髪の毛の色のデザイン性
これらに惚れました
外国でも人気爆発しているのは、【和服や刀】日本テイストの濃い時代設定とキャラクターたちの魅力にあり、日本国内では “なぜ鬼狩りになったのか?鬼はなぜ鬼になったのか?” という背景が描かれている理由があると思っています
時代設定が大正レトロな雰囲気
アンティーク着物や和服が大好きな私♡だから、連載開始当初からお話を気にして見ていました
「鬼滅の刃」に登場するキャラクターたちは、それぞれ独自の和柄がアイコンとなった羽織や着物を着ているので、それだけでグッときます
キャラクターが着ている和柄デザインのグッズも沢山販売されていますね~
禰豆子のイラストを作画する生徒さんが「禰豆子の着物の模様が上手く描けない、難しい~」とよく質問を受けます
《麻の葉》の文様ですね
和柄・和服が大好きな私は、子供たちが古典的な絵がえらに興味を持ってくれるだけでうれしく思います
教室では生徒さんと一緒に描く練習をします
キャラクターのかわいらしさ
作者の独特の画風で、いかつい顔のキャラクターや筋肉ムキムキの剛腕なキャラクター達でさえ、どこか愛くるしく見えますね
少年誌だったら、メインとなる敵キャラクターはイケメンで大人びた人物だったり、筋肉バカ的な強いキャラクターはリアルマッチョだったりするのですが、マッチョな伊之助は顔が女の子のように可愛らしいというギャップがあります
小学生女子がこれほどまでに「鬼滅」にはまるのは、キャラクター達にかわいらしさやカッコよさがあるからです
もし「鬼滅の刃」の絵柄が「ジョジョ」的な絵柄や「ケンシロウ」的な絵柄だったら、これほどまで小学生女子ファンは現れなかったでしょう
少年誌によくあるパターンは、キャラクターたちの強さを数値化する事です(ゲームもそうです)
キャラクターの戦闘能力を見える数値化として表現して、戦闘能力を見計らいますよね
キャラクター達は自分が対抗する相手の戦闘能力に向かうために修行をして自分の戦闘能力を上げていく物語が繰り出されます
私の息子や息子の同級生の友達を見ていても、戦闘能力が数値化されていることが大好きです
男の子って、そういう分かりやすさが好きなのかしら?って笑ってしまう所ではありますが、女児はそういう生き物ではないんですよね
もっと内面的な物や、抒情的なことなど人の心理的な描写が好きな静物なんです
『鬼滅の刃』が女性に受けた理由もそこにあると思います
残虐なシーンのでも、独特の絵柄でグロさを感じない
小学生でも「進撃の巨人」を見ることが結構普通になった昨今
いくら、R指定のあるようなマンガやゲームを規制したところで、ユーチューブで視聴できてしまうし、私のように親もマンガが好きな人が多い世代だから、子供が起きている時間にグロいアニメを観たり、親子で一緒にバイオハザードゲームを楽しむことが普通になりました
人の血しぶきが表現されている映像を見たり、内臓がはみ出していたり、目がつぶれていたり…そんな映像表現の映画やアニメを子供たちは当たり前のように視聴できるようになりました
親として子供に見せて良いものかどうか、一度は悩むのですがもう防ぎようもないので気にしつつも子供は見ているわけですね
「鬼滅の刃」ではバッサバッサと人を切ったり、手足首がちぎれたりするシーンがあるのですが、独特の絵柄がそのグロさをカバーしています
血しぶきも描かれているけれど、リアルな絵柄ではなく作者の画風で血液の表現でさえデフォルメされた絵柄だから、“これは架空の世界なんですよ~~” ということが伝わります
作者のペンタッチの独特さ
吾峠呼世晴さんの絵は、どんな絵を描いても “この絵は吾峠さんが描いた絵だ!” と分かる独特の絵柄ですね
デビューしたばかりの新人さんの絵柄を見ていると “あの漫画家さんの影響を受けている人だな”とか “きっとあの漫画家さんのアシスタントをしていたんじゃないかな?” という絵柄があります
キャラクターごとに違う目や髪、和服や刀のデザイン性
女性ファンを多く獲得できた理由も、こういう細やかな小道具にまで気を使ってキャラクター設定されているからですね
マンガを描く側は、もちろんキャラクターごとに目や髪型描き分けるけれど、瞳の中の描きこみ方はどのキャラクターも共通して同じだったり、髪の毛のツヤの描き方はどのキャラクターも同じだったりします
例えば、刀一つを追求して作画するとしても、男性目線と女性目線は全く違います
男性は刀がどのように作られているのか?どのように研いでいるのか?どのような鉄を使っているのか?など、より強い刀を作るためにはどんな仕組みの刀がいいのか?っていう方向へ追求しているように見えるのですが、女性はそんな作りの質ではなく、“見た目” が重要なんですよね
女性マンガのモデル並みにスタイル抜群の戦士の武器は、「そんなデザインでどんだけ強度なんだ!」「そんな重そうなデザインの武器をキャラクター達は片手で軽々と振り回してんだ!」って表現がよく見られます
女子は、学校の制服を着ていても、他人とちょっとした違いを出すために、リボンを緩めて着たり、スカート丈を変えてみたり、ピンを付けてみたり“自分だけのお洒落”を演出する生き物なんです
鬼滅作品には、そんな細やかなデザインのこだわりがありますね
私が大好きなところは、何といっても炭次郎のピアス!!にドはまりしました!
日の丸国旗をおモわせるデザインだわ!
海軍物のお話が大好きな私には、日の丸とも花札とも思わせるピアスデザインがカッコ良くてたまりません
人間の歴史の中で、絶対的な“善や悪”はない
悪者を退治する側 にも 人を殺す側 にも なぜそうするのか?というそれぞれの立場で理由がある
その理由を小学生にも分かりやすく人情的に描かれたのがこの作品の魅力だと思います
『進撃の巨人』もそれぞれの立場の“善”によって、戦争・殺戮をしている世界観を書いている漫画だけれど、大人が読んでいても楽しめたり考えさせられるように描かれているので、小学生には難しい内容です
でも、『鬼滅の刃』は、さすがジャンプ連載漫画なので、小学生にも分かりやすくて、大人にも訴えるもののある2階層の作風となっています
私を含め、現在生きている私たちは、戦争を体験した事のない世代ですよね
歴史で戦争を学ぶけれど、実感が持てないのが私たちの世代だし、私世代はおばあちゃんやおじいちゃんが戦争体験をしているので、その話を聞いたことがあるけれど、子ども達平成世代はテレビ・マンガ・映画・ゲームなどでしか戦争を知りません
なぜ人は憎しみ合うのか、なぜ人は争いを起こすのか?
敵対する者のそれぞれの正義は何なのか?
それぞれの立場でそれぞれの正義や主張があるんだという事を考えさせられる作品が『鬼滅の刃』にはあります
2020年
小学生には『鬼滅の刃』 高校生以上世代には『進撃の巨人』 がその代表作だと考えています
今年は映画上映が楽しみですね
コロナの影響で、予定日に上映されるのか気になる所ではありますが、『鬼滅の刃』作品が映像となることが楽しみにしているいちファンです