「ハリーポッター」好きな生徒さんが作画しました“ハーマイオニー♡”
実在の人物やモデルさんがポーズをとっている写真をもとに、人間の絵を描く練習をするのは人間の体の構造やポーズを作画する練習に良くすることです
人間のポーズによって、描くときに意識するポイントは様々
ただ見て描かれたものと、人間の体の構造(骨・筋肉)を意識して描かれたものとは完成したときに、絵の安定感が全く違ってきます
でも、小学生でそれらを意識して描くことは難易度高レベルなことです
そこで、「アトリエいろかさね」では
〇講師の私と生徒さんと一緒に作画をしながら具体的にどういうところを気を付けて描けばよいのか?
〇なぜそこが気を付けるべきポイントなのかを説明しながら作画をしています
上記イラストを完成させるまでに、私が生徒さんへアドバイスした内容5つを具体的に解説します
- 座っている姿勢が崩れないように背骨を意識すること
- 下向きの “目” をどう表現するのか練習しよう
- 物を持つ手を頑張って描こう
- “真正面”から見える手をどう表現するのか自分で手のポーズをとりながら考えてみよう
- 足を組んで座っているポーズと、その手前にある謎なツボとの距離感を意識しよう
座っている姿勢が崩れないように“背骨”を意識すること
立っている姿勢の人物を描くときにも、もちろん人間の要である “背骨”を意識して描くことは当然なのですが “背骨” は若干歪んで動くものなので、立っているポーズだと多少のずれは発生します
でも、今回の作画は真正面から見た人物なので、体がへんに歪んでいたり、腰の位置がずれてしまうと明らかに“なんだか変だな・・・”という仕上がりになります
子供の描き方というのは、人間全体のバランスを意識して描く力が弱く、今自分が描いている個所のみに集中して作画をするので、描き上げたときに全体として体のバランスがちぐはぐになることが良くあります
人間の要となる背骨や腰の位置が歪んでいると、絵としても作画した本人も「う~~ン・・・」という仕上がりになってしまいますから、生徒が作画している最中に私が
「背骨がまっすぐ背中に通っていることを意識するんだよ。背骨は首から腰につながっているし、真正面で描いたキャラクターの中心線を意識するといいよね」 とアドバイスしました
下向きの“目”をどう表現するのか練習しよう
子供たちがイラストを描くときは、ほとんどの場合 “真正面を見ている人物” “少し横向きの人物” “真横向きの人物” で、ポーズをとっています
キャラクターの複雑な表情は、物語性を意識してこそ出てくる表情なので、小学生の時は “うつむき加減で何かを考えているキャラクター”は、なかなか想像すらしませんよね
中学生くらいになると意識して描けるようになってくるでしょう
今回の生徒さんも、“少し下を向いている目線” ってどう描けばいいんだろう?と、手が止まってしまいました
そこで私は、「眠っている目を以前に描いたことがあるよね。瞼はそんな感じで作画すればいいよ。ただこの人物は手元に目線があるので、完全に瞼を閉じた表現をするのではなく、薄く目を開けているように描いてみよう」
とアドバイスをして一緒に描いてみました
物を持つ手を頑張って描こう
人間の《手》は、気持ちを表現することや動きを表現することで作画できないといけない重要な個所です
イラストを描くときに、手を作画することが難しいからと言っていつも手を体の後ろに隠しているイラストばかりを描いていても、面白みがありません
なので、小学生の生徒さんが、「どういった手だったら頑張って作画できるかな?」 ということを考えながら、描く練習をしていただいています
今回のイラストの場合は “物を持っている手” だったので、持っているものの形を意識することと、指の形を生徒さんが納得いくまで何度も作画練習をしていました
“真正面” から見える手をどう表現するのか自分で手のポーズをとりながら考えてみよう
今回のイラストの場合の手の作画での難しさは “真正面から見た構図” だったことです
どんなものでも、長いものを真正面から見た構図は 遠近感を表現したり遠近による太さの変わり方をどう作画すればいいのかの加減が難しいのです
手の形を自分でポーズをとって観察して描いてみたり、手の形を変えてみたり、様々な工夫をして何度も描いて自分が納得する “手”を作画した生徒さんの根気の良さが表れています
足を組んで座っているポーズと、その手前にある謎なツボとの距離感を意識しよう
今回のイラストは、人物が足を組んで地面に座っているポーズの画像からイラストに落とし込む作業をしました
足を組んでいる足先の作画も難易度が高いのですが、元の画像には一番手前位置(ハーマイオニーの前)に魔法薬でも作っているかのようなツボが置いてあったので、そのモチーフで足先を隠してしまおう!
と、提案してそのように作画をしました
子供たちは、元の画像の通りに何とか描こうと真面目にとらえて、うまくできないと悩んでしまいがちです
自分が描けるようにアレンジすればよいのですが、そもそもどのようにアレンジをすればいいのかさえイメージすることって難しいんですよね
そういうところを私がアイデアをいくつか出した中から、生徒さんにどのパターンでアレンジするかを考えていただいています
足元を隠すために、イラストの一番手前に“壷と台”を作画しました
最初、生徒さんは“二次元”で作画していたので、この壷と台は“紙”のように薄ぺらいモノではなく、立体物なので立体感があるように作画をしてみよう
と説明し、どういう風に描けば立体“三次元”になるのかを理解していただきました
まとめ:1枚のイラストの中にも学びは豊富にある
イラストを作画する中で、気づきや学びがひとつずつ増え、次の作品作りに前回の学びが生かされる
その繰り返しを100枚200枚と続けることで、画力は高まっていきます
絵を作画する中で、どういうことを意識すればよいのか自分で見つけるのはものすごく時間のかかる作業だけれど、「アトリエいろかさね」で習っていると、ほんのちょっとしたコツやアドバイスがあるので、絵の理解度は独学よりも圧倒的に早くなります
“楽しく作画“を繰り返しながら、少しずつ難しいことにも挑戦して描きましょう