絵を描くために必要な力とは~明石 イラスト教室「アトリエいろかさね」的考え~
絵を描くためには、画力が必要という事は誰しもが思う事。
でも実は、手で描く能力を上げるためには、“ただ数を描けばいい”ということでは上手くなりません!
- 集中力
- 観察力
- 想像力
- 色彩構成力
- 一人で最後までやり遂げる力
・・・・・・絵を描くためにはこれらが必要になります
アトリエいろかさねでは、コミックアート・イラストレーションを中心に指導しているので
イラストを描く事を想定してひとつずつ解説していきます
集中力
描く紙の大きさや、使用する画材、絵の内容の細かさにもよりますが、作品を仕上げるまでの工程に
- 作品の図案を考える
- 下絵を描く
- 着彩する
最低3つの工程があります
1の「図案」を考える作業は、一瞬でイメージが湧く時もあれば
なかなか案が出ない時もあります
2の「下絵」は、絵を描き慣れている人は早いですが
私が中学生の頃は、何度も描いては消してを繰り返して人物を描き上げていたので
下絵だけで2~3時間使う事は当たり前でした
3の着彩が最も集中して取り組む作業なので、作品の大きさにもよりますが
ポストカードサイズの着彩なら3~8時間
A4サイズの用紙なら、5~10時間とか
学生の頃は休日の時にしかまとまった時間が取れません
1から3の工程を一日で仕上げる事もあれば、それぞれ違う日に細切れにして
作業することもあります
描き始めたら、他の事へ意識がそれる事なく絵に没頭するので、集中します
観察力
普段から何気なく生活するのではなく観察する癖が必要です
本や美術館、街中のポスターから絵を学ぶ事ができますが絵だけが学ぶ教科書ではありません
風景・人物・動物・自然…
ありとあらゆるものが絵のモチーフです
世の中のすべての物が、学ぶ対象です
例えば、「タンポポを描いてください」と、急に言われて描けますか?
“黄色くて花びらが沢山あるお花だな”
というイメージは出来るでしょう
白くてふわふわした綿毛も想像できるでしょう
では、葉っぱはどのような方向に生えていたかな?
葉っぱの形は?
地面のどこに咲いていた?
知らなければ絵に起こすことは出来ません
そう。絵は知らないと描けないんです
《観る力》
絵の上達のためには、画材に慣れるために、手を動かして描く事も大切ですが
何をどう描けばいいのか分からなければそもそも描く行動に移せません
モチーフをよ~く観察する力が必要です
観察するといっても、書き慣れない初心者は何をどう見るのか分かりません
世の中の立体物を、平面の紙に描くって、難易度の高い能力です
物が重なり合っている場合、遠近を出すことって難しいです
図形の基礎認識や、ものの奥行をイメージする力が必要です
描くのは平面の紙の上ですが、実物は立体物です
見えない向こう側も意識して描きます
《固定観念を捨てる》
幼いころから頭にインプットされている図形を外さないといけません
例えば、 《りんご・チューリップ・魚・お花・葉っぱ》 子供がどう描くのかを想像できますよね
でも、本物はそんな形をしていません
リンゴはまん丸ではないし、チューリップは花びらが複数重なり合っているし、
魚は種類によってひれや体のの形が違います
お花とひとくくりにしても、朝顔の形もあれば、ひまわりの形、バラの形それぞれが全く違います
葉っぱも同じ。イチョウやモミジの葉っぱの形がありますよね
まず、その既にデザイン化された図形を頭から外して
実際にはモノがどんな形をしているのかをよ~~く観察する必要があります
子供たちは、これまで見て来た絵本やアニメのビジュアルが頭にあるので
魚のモチーフを用意しても、モチーフを見ずに自分が頭で想像する
《さかな》を描こうとします
なので、本来はこういう形をしているよね
と、具体的に、特徴を捉える観察力が必要なんです
想像力
イラストレーションは、“どんな絵を描こう” と、自分の頭で世界を作ってイメージする力が大切です
描くモチーフがある場合は、見本がある状態なので子供たちは 「これを描けばいいのね」と、描く事ができます
ところが、テーマだけ与えられて 「自由に描きなさい」 という課題が出ると、描けない人が多いです
想像する力 は、普段から空想することをしていないとすぐにできる事ではないです
想像力は、生活の中でちょっと意識するだけで、訓練できますよ
私は空想や妄想が大好きだったので
ぼーっとしていることも多かった子供時代でしたが
それはとても楽しい時間です
《 例 》
青空に浮かぶ雲の流れを見て、雲の形で物のイメージをする
長い髪の女の子の髪が風になびく光景がきれいだな~と観察する
木々のキラキラした木漏れ日
あの電車でどこまで遠くに行けるんだろうと、考えてみる
旅行のコマーシャルをみて、自分がそこへ行ってみた空想をする
美味しいものを食べた時の気持ちを考えてみる
さっき友達と会話した事の続きを頭の中で続ける
など、
“これが、こうなったらどうなるだろう”
“これが、こうなったら私はどうするだろう”
そんなふうに、イメージする力をつけます
頭の中のビジョンを手に伝えて描く作業
自分の作品を描く作業は、自分の頭の中を書き出す作業です
頭の中ではこんな絵を描きたなと思っても
思ったように描けるには、とにかく練習しかありません
スケート選手に例えるなら
頭で自分の完成演技をイメージトレーニングして、
イメージしたとおりに体を動かして
表現できるようにひたすら練習していますよね
絵も同じです
イメージしたものを手で描きだす作業です
でも、頭の中でイメージしているように人物が描けない時や
色を出せなかったりします
イメージする → 描きだす → 上手くいくまで練習をする
その繰り返しで、絵は上達します
色彩構成力
色の事を知っていると、人に “見せる” 絵を描く時に配色を考える事ができます
色彩は中学の美術で習います
絵を描く人は、色のキホンを覚えておくことは必須です
色彩の知識はデザイン業界で必要な知識になります
ファッションデザイナーや広告デザインなどになりたいという
目標のある場合は必要な知識です
色の組み合わせで、人に与える印象と言うものがあります
それらを知識として知っておくと、作品の雰囲気に活かした配色を使って
作画することができます
最後まで一人でやり遂げる力
作画は、自分との戦いです
自分の魂を黙々と作品に込める作業です
描く作業は実にシンプルですが、脳の集中力と自分の魂を削る作業です
とても疲れる作業なので、作品を仕上げる前に
「疲れた~」と、リタイアしてしまう事もあるでしょう
でも、この作品を作りたいんだ!!という熱意がないと
出来ない作業です
絵を描く人は、見た目は穏やかそうに見えても
心は自分に厳しい意志のある人が圧倒的に多いです
まとめ
“ 絵を描く ”
と一言でいっても
たくさんの能力が必要なことはお分かりいただけましたか?
これだけの能力が必要なので
ちょっと習ったからと言って
直ぐに絵が上達するものではありません
なにごとも、極めるにはコツコツした努力と根気が必要です
そのためには、「描く事が好き♡」
と言う気持ちがないと、到底続けられません
絵を描く作業は 静と動で言えば 静 に見えるでしょう
でも、描き手の心はスポーツマンと同じ
アトリエいろかさねへ通う事で、監督やコーチに当たる私が
子供たちへアドバイスやサポート、励ましの言葉をかける事で
上達しながら続けられるのです